スポーツのシーンでは足を攣って動けなくなる場面をよく見かけます。
人体の正常の可動範囲から逸脱した場合、筋に過剰に負担がかかり結果的に「足を攣ってしまう」現象が起こります。
足を攣る=足の痙攣
は同義としてここでは話していきます。
この場合、多くはチームメイトもしくが救護者がストレッチをして伸ばしているかと思います。
短縮して痙攣している筋に対しストレッチをして伸ばそうとするのは当然の対処法になります。
しかし、ストレッチという対処法を選択しても、一時的に回復してもすぐに再発してしまいます。
今回は、そういった例に対し、あえて”運動をする”という選択を行い、回復を図る方法を記事にしていきます。
1.足を攣るのはなぜ?
痙攣=足が攣る=こむら返り
色々な言い方があります。
この足を攣るのには原因がいくつかあります。
①水分不足
まずは単純に水分不足が挙げられます。
筋に限らず人体そのものの多くは水分で構成されています。
故に、水分が不足すると必然的に筋機能も低下します。
結果的に「足を攣りやすくなる」といった問題が生じます。
・アルコールの飲みすぎ
・嘔吐・下痢・過度な発汗などによる脱水
・熱中症(前後で生じやすい)
②骨盤のゆるみ
骨盤のゆるみでも足は攣りやすくなります。
妊娠後期(妊娠8ヶ月ぐらい)は、成長した胎児によって妊婦の骨盤は内側から押し広げられるので、骨盤のゆるみが生じます。
そのため、妊婦は足を攣りやすくなるんですね。
また、骨盤のゆるみが生じると、足の筋肉は持続的に引き伸ばされることになり、この状態に対して、ふくらはぎの筋肉が本来の長さに復帰しようと急激に縮んだ瞬間、こむら返りが起こる場合もあります。
・水泳などで冷たい水に長く浸かる
・妊娠(骨盤のゆるみ)
③生活習慣etc・・・
生活習慣や食生活の乱れでも足は攣りやすくなります。
特にマグネシウムの不足はよく言われる問題です。
足が攣るのを防止する栄養素として役立つミネラルで、最も不足しがちなのは、マグネシウムです。 マグネシウムは体内で不足しがちな上、薬などでも消耗するため、様々な要因で不足しがち。
実は、足が攣る原因の多くは「ミネラル不足による筋肉の異常収縮」なのです。
筋肉の収縮及び弛緩のバランスをとっているミネラル分が不足して筋肉が異常収縮を起こし、結果的に足を痙攣させます。
【マグネシウム不足と足の痙攣の関係性】 マグネシウムは、細胞の活動に必要なカルシウムやカリウムが出入りできる状態にする働きを持っている。 そのため、マグネシウムが不足すると、筋肉が過敏になってしまう。 マグネシウムの筋肉弛緩作用は昔から認められており、多量を静脈から投与すると、妊娠中の子宮収縮や、妊娠中毒を緩和することが知られている。
・マグネシウム・ビタミンEの不足
・毎日の食生活が乱れがち 、生活が不規則・ダイエット中
・運動不足(普段使っていない筋肉に急に力を入れる)
④神経系の反射異常
足を攣るのは、神経も関係しています。
筋肉や腱の中には「筋紡錘」・「腱紡錘」といって、筋肉が「伸びている」ことを伝えるセンサーがあります。
このセンサーから脳は「これ以上、筋肉を収縮させるな」という信号を受けています。
筋肉が疲労するとセンサーの信号量が減ります。
すると、脳は「筋肉を持続的に収縮しろ」という命令を出します。
結果、神経系の機能異常により「足を攣ってしまう」わけです。
ちなみに、「攣っている」筋肉をゆっくりとストレッチする と 「攣り」が解除されて、元の状態に戻りやすいのは、ストレッチがセンサーの信号を出やすくするためです。
2.ふくらはぎが痙攣した場合の対処法
ここまでは「足を攣る理由」について説明していきました。
原因がわかるとそれに対して対処していけばいいわけです。
例えば、普段から薬などを常用している場合なんかはマグネシウムが不足している可能性があるためマグネシウムの多い食品を摂取する・マグネシウムのサプリメントを摂取するなど・・・
そのまま対処すればある程度は解決可能な問題の思えてきますね。
しかし、困ったことに、
「実際に起こってしまった場合」
はどうしたらいいのでしょう?
結局、足を伸ばすストレッチしか選択肢はないのでしょうか?
いや、意外と前脛骨筋の収縮を入れれば解決するんです。
しかも、ふくらはぎをストレッチするよりも効果が得られる可能性があります。
①なぜ前脛骨筋の収縮が大事?
答えは簡単です。
ふくらはぎの筋肉と相対するのが前脛骨筋だからです。
ふくらはぎは下腿の後面に位置し、前脛骨筋は下腿の前面に位置します。
運動様式でいうと、
ふくらはぎの筋は足関節の底屈運動、前脛骨筋は足関節の背屈運動を引き起こします。
この関係性を利用し、ふくらはぎの筋を間接的に緩めていくのが理論になります。
これは”相反神経抑制”といって、
緩めたい筋の対になっている筋をトレーニングすることで相対的に対象の筋を緩めていくといった方法になります。
この相反神経抑制を使って緩めたほうが、過剰なストレッチによるパフォーマンス低下も防ぐことが出来るため、スポーツ場面でも有効に活用できるものと思われます。
②前脛骨筋の収縮を得るには踵歩きが有効
実際に、前脛骨筋の収縮運動を行う際は、「踵だけで歩く運動」が最も効率よく前脛骨筋を収縮させることが出来ます。
スポーツ場面では、ピッチ上で踵歩きをすればいいだけなので簡単です。(そんな時間はないかもしれないので状況によりますが・・・)
少しの間、つま先を上げて踵だけで歩くようにすると前脛骨筋が収縮されて、かつ後面にあるふくらはぎの筋は伸長されていきます。
3.まとめ
今回は、足が攣る原因とその中でもよく起こりがちなふくらはぎの攣りに対する対処法を説明していきました。
相反神経抑制を利用することで、ふくらはぎの攣りには踵歩きが効果的であることを説明しました。
寝ているときなんかにわざわざ起きて踵歩きをしなさいとは言いませんが、活動中やスポーツ場面なんかでは実践可能な方法になってきます。
それでは本日はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました!!
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