今回は股関節でも症例数の多い、THA術後のレントゲン所見の見方について解説していこうと思います
当院では脱臼リスクがほぼほぼない手術なので、
あまり気にすることはありませんが、THAを担当するのであれば最低限知っておきたい知識だと思います
今回も僕自身のレントゲンに加工して解説していきます(笑)
THA後のレントゲンの見方
THA後のレントゲンを読む際にいくつかのポイントがありますので、
それを参考にTHA後のレントゲンを読んでいきましょう
THA後のレントゲン①:cup外転角
まずはcup外転角についてです
それぞれ人工股関節には名称があり、
cupは臼蓋に収まる部品の名称です
赤い部分がcupが収まる場所です
hup外転角は、両側涙痕を結んだ線を0°の基準とした際の前額面上における
cupの傾斜角度のことを言います
青い線で記したのが両側涙痕を結んだ線、
もう一つの短い青い線がcupの傾斜角度を表し、
その間の黒い線の部分の角度をcup外転角といいます
極端なことを言うと、cup外転角90°となれば、
cupが真横を向いていることになります
図の左股関節がcup外転角90°の状態です
こんなTHA見たことないですよね
見たことがないのは、cup外転角が大きくなればなるほど脱臼リスクが高まるためです
cup外転角は40~45°程度、とDr.に教わりました
THAのレントゲン②関節包のテンションを考える
THAのレントゲンを見るポイントの二つ目は、関節包のテンションを考える、ということです
関節包のテンションを考える場合、offsetについても考えなくてはいけません
「offset高めにしてるから、可動域出にくいかも」
みたいな会話をDr.としたりします
offsetってなんやねん
と最初は思いました
offsetについては以下の記事で解説をしています
こちらを読んでから、この先を読んでいただくと理解が深まるかと思います
計算機科学の分野ではoffsetは先頭からどれくらい離れているか?
ということを意味しています
THAにおいては基準となる部位からどれだけ離れているか?ということがoffsetになります
細かいことはoffsetの記事をチェックしてください
ではそれを実際に僕のレントゲンでイメージしましょう
左がTHAやっていると思ってください(笑)
このoffsetが大きいと関節包のテンションが高く、
反対にoffsetが小さいと関節包のテンションは低くなります
このとき、Femoral offsetとAcetabulae offsetの総和が健側と比較して変わりなければ、
関節包のテンションも健側と変化がない、と教わりました
offset大きい(関節包のテンションが高い) =脱臼リスク↓、可動域制限や外側伸張感↑ offset小さい(関節包のテンションが小さい) =脱臼リスク↑、可動域は獲得しやすい となります
THAのレントゲン③脚長差を調べる
変形性股関節症では健側患側で脚長差が生じていますよね
その脚長差を健側にそろえることを「脚延長」とは言わず、
「脚補正」と言います
脚補正しても、THA後に脚長差を訴える方がいますが、
自覚的脚長差と機能的脚長差に分けられます
自覚的脚長差なのか、機能的脚長差なのかはレントゲンで測定すればわかります
機能的脚長差を調べる場合は、
基準となる両側涙痕を結んだ線から小転子(or大転子)がどれくらい離れているか?
で測定を行います
これ結構大事で、SMD・臍果長を測定することもありますが、
レントゲンから測定すれば一発です
脚長差を測定するのに、もう一つ、ステムの沈み込み(Sinking)を確認する という意味もあります mm単位での変化のことが多いですが、ステムが沈んだだけで疼痛がかなり強くなります 突然荷重できないくらいの疼痛が生じた症例がいた場合は、ステムの沈み込みが生じている可能性があります
THA術後のレントゲンの見方について、おしまい
今回はTHA術後のレントゲンの見方について解説をしました
THA術後のレントゲンを読み解いていく事で脱臼リスクや可動域が獲得しにくい理由などがわかってきます
レントゲンは客観的に評価することができる指標の一つなので、読めるようになりましょう
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